キャッチャー・イン・ザ・ライ
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読みました。
キャッチャー・イン・ザ・ライ
ライ麦畑でつかまえて(1951年)
著 J.D.サリンジャー
訳 村上春樹
高校を放校となった17歳の少年ホールデン・コールフィールドがクリスマス前のニューヨークの街をめぐる物語。口語的な文体で社会の欺瞞に対し鬱屈を投げかける内容は出版当時から賛否両論を巻き起こし、一時期は発禁処分も受けた。現在では青春小説の古典的名作として、日本を含む世界中で読み継がれている。(Wikipediaより)
名作として知られる『ライ麦畑でつかまえて』の村上春樹翻訳版です。
以前、野崎孝翻訳版は読んだことあります。個人的には野崎孝訳の方が好きかな。村上春樹訳も非常に読みやすかったですが、なんかね…より一層主人公の嫌味さが増して見える(笑)
でも何度読んでもいい!
感想
やはりただの青春小説ではないですね。
主人公のホールデン・コールフィールド。ひねくれ者だけど憎めません。
どこまでも純粋で、世の中のインチキが嫌いで、お酒や煙草もするけど不良ってわけではなく、人一倍感受性が強く、鋭さを持っていて、すごく自分に正直な彼。きっと誰もが経験したことのある、大人と子供の間の感情。その代弁者のような彼に皆引き込まれるのだと思います。
この本に共感できなくなった時、大人になるのかな…
社会の束縛から逃れたい、現実から逃げるかのように旅をする彼。社会を、他人を理解すること、ホールデンの言う「インチキ野郎」になることが大人になるということなら、この時間を止めてしまいたい。その願いが「耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろう」ということでしょう。
「ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたい」というセリフ。ライ麦畑は子供のメタファーで、崖から落ちるということを大人になる、インチキ野郎に なることと読み解きました。まるでピーターパンの様な。きっとホールデン自身も捕まえてもらいたいと思っていることでしょう。
この物語、ただ3日間ふらふらニューヨークの街を巡る話ですが、それ以上にホールデンの葛藤が語られていて、過去の自分を見ているようです。だから何年も受け継がれていく名作なんでしょう。
ホールデンにはすごく共感します。君は一人じゃないよ。
凄く大好きな作品です。
世の中に不平不満がある方に……
以下、好きなセリフ↓
「死んでから花をほしがる奴なんているもんか。一人もいやしないよ」
「何でもそうだが、あんまりうまくなると、よっぽど気をつけないと、すぐこれ見よがしになってしまうものだ。そうなったら、うまくも何ともなくなる」
「あなたは世界中で起こる何もかもが、インチキに見えてるんでしょうね」
「たとえ百万年かけたところで、君には世界中にある「ファック・ユー」の落書きを半分だって消すことはできないんだからさ。」
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)
- 作者: J.D.サリンジャー,J.D. Salinger,村上春樹
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2006/04
- メディア: 新書
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